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自分には何の力もない【金光新聞】

何があっても神様にすがる

 私(58)は妊娠と出産の体験を通して、日々起きてくる不安を神様にお任せする大切さを知りました。
 私は26歳の時に結婚したのですが、なかなか妊娠できませんでした。日頃から金光教の教会に参拝し、教会の先生に、どんなこともお届けしていたのですが、不妊の悩みだけはお願いできずにいました。それは、妊娠を待ちわびる周囲の期待に添えないことが重圧となり、自分を責めていたからだと思います。3年目からは不妊治療も試みましたが、精神的な苦痛から1年足らずでやめていました。
 それから半年後のある日、体の不調が続き、病院で診てもらったところ、妊娠していると告げられました。ごく初期で、次の検診でないとはっきりしない状態でしたが、思いもかけないことに、喜びいっぱいで教会に参拝した私は、先生に泣きながらお礼のお届けをさせて頂きました。

 2週間後の検診で、妊娠と、その上なんと双子であることが分かったのです。2倍の喜びもつかの間、医師は双子出産のリスクについて懇々と説明した上で、「とにかく安静に」と繰り返しました。
 私は再び不安に襲われ、泣きながら教会でお届けしていました。そんな私に先生は、「これからは何があっても、天地の親神様におすがりさせて頂きましょう」とおっしゃってくださいました。もちろん、これまでも毎日神様に祈り、おすがりしてきたつもりでした。しかし、今思えば不安ばかりが先に立ち、先生のお言葉の真意は分かっていませんでした。
 妊娠4カ月の検診時、十分に栄養が通っていないため、双子の一人の発育が悪く、絶対安静と告げられ、不安は増す一方でした。授かった命を失いたくない一心から、また泣きながら、教会で事の次第を伝えました。

神様はいつまでも待ってくださる

 先生は、「おかげを頂きましょう。要はあなたの腹一つ!何一つ自分の力でできることはないのだから、天地の親神様に一心におすがりさせて頂きなさい」と、厳しい口調でおっしゃったのです。
 先生のお言葉を頭の中で何度も繰り返すうち、「おなかの子どもに栄養をあげる。しかも二人平等に。これは私の力でできることではないし、安静にしていれば、それでおかげを頂くとかいうことでもない。私には何の力もないのだから…」と、心から湧き出てきました。神様におすがりし、お任せするしかないと腹が決まり、教会のご神前で、今まで神様におすがりしきれなかったおわびをさせて頂きました。
 その日を境に、私の心は大きく変わりました。母子共に危ぶまれる時でさえ、教会にお届けをし、「金光様、金光様」とお唱えして神様にお任せすれば、必ず良いようにしてくださるという、確かな安心がありました。不安のたびに泣いてお届けしていた私は、もういませんでした。そして、願い通り、元気な双子を出産できたのです。

 振り返ると、「一人の子の発育が悪い」という医師の言葉は、「人間の力ではどうしようもないことだよ」という、神様のお言葉だったのでしょう。
 私は、天地の親神様のお働きの中で、人間は生かされて生きていることを身をもって実感しました。神様は、私たち人間が一心になってすがってくることを、いつまでも待ってくださっています。妊娠、出産を通してそのことに気付かせてもらえたことを、心からありがたく思います。
※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

「心に届く信心真話」2020年8月2日号掲載

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タグ: 文字, 信心真話, 金光新聞,