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母の祈りを支えに辛抱【金光新聞】

この神様は必ず守ってくださる

 今年の3月、「先生、息子が採用試験に合格し、転職できることになりました」と、誠子さん(70)は教会のお結界でお礼のお届けをしました。息子の真さん(42)と一緒に十数年来、神様にお願いしてきたことが成就したのです。
 真さんは大学卒業後、一度は就職したのですが、学生時代に学んだ英語を生かした仕事をしたいと思い、退職して国の海外研修制度でニュージーランドとカナダでさらに語学を学びました。
 帰国後、国際的な流通業を営む会社に入社したのですが、配属先は、国内での配送業務を担当するドライバーで、語学を生かせる職場ではありませんでした。さらに担当する地域がとても広く、息つく暇もない多忙な毎日でした。
 しかも、上司には下積み経験がなく、現場の厳しさを理解してくれない上、理不尽な叱責(しっせき)を受けることもありました。そんなことから、真さんは真剣に転職を考えるようになりました。

 真さんは、週に1度は必ず、県外に住む母親の誠子さんに電話をかけ、苦しい胸の内を聴いてもらっていました。誠子さんは、いつも真さんの話をしっかりと聴き、最後に「神様のお守りを頂きながら、辛抱させてもらうことが大切だからね。教会の先生にお取次を頂くから安心しなさいよ」と、励ましてきました。
 そう自信を持って語る誠子さんが、最初に神様と出会ったのは中学生の時でした。幼い頃から家事を手伝ってきた誠子さんは、寒い時期に手にできるひどい霜焼けに悩んでいたのですが、その痛みをこらえながら、母親と一緒に早朝の教会参拝を続けたところ、霜焼けが治り、それ以来できなくなったのです。この体験を境に、「この神様は必ず守ってくださる」と確信し、熱心に信心を続け、事あるごとにおかげを頂いてきました。
 そんな誠子さんの姿は、真さんにとって生きる手本でした。心が折れそうになりながらも、電話をするたびに、もう少し辛抱してみようという思いになれました。教会の先生と母親が祈ってくれていることが、大きな支えだったのです。

信頼できる新しい上司が

 そんな中で、職場に新しい上司がやって来ました。今度の上司は、真剣に相談に乗ってくれ、信頼の置ける人でした。その上、真さんの仕事ぶりを見て、「語学を生かしたいなら、成田空港にある系列会社がいい。力になるよ」と、転職を勧めてくれたのです。
 そこで、採用試験を受けてみたのですが、とても合格できるようには感じられませんでした。真さんからそう聞いた誠子さんは、不安な思いを抱えながら合格を日々祈り続けました。

 合否の通知が届く前々日のことです。誠子さんが自宅のご神前でご祈念していると、急に涙が止まらなくなりました。それとともに、それまでの心配は消え去り、とてもすががしくありがたい思いで胸がいっぱいになりました。そのことを教会の先生に伝えると、「誠子さんの神様に向かう心に、神様が応えてくださったんだね」と答えてくれました。そして、その2日後、無事に合格通知が届いたのです。
 真さんは、新型コロナウイルスの影響が心配された中でしたが、6月から成田空港の会社で勤務しています。誠子さんは引き続き、真さんが神様のお守りを頂いているとの自覚のもと、安心の日々を送れるよう、祈り続けています。
※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

「心に届く信心真話」2020年7月26日号掲載

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タグ: 文字, 信心真話, 金光新聞,