「神人の道が現れる」
金光教報 7月号 巻頭言
本格的な夏を迎え、暑い日が続くと体調管理もおのずと難しくなります。自分の体は自身で十分体調管理ができると思いがちですが、なかなかそうはいきません。暑さのために、ついつい冷たいものなどが欲しくなり、冷房器具などを多用することで、体に不調を来すこともあります。
暑さに耐えることができる体力も、気温の変化に対応できる身体も、よくよく考えればもともと人間が作ったものでなく、神様のお恵みによって生まれるものであります。けれども、いつしか私の体となり、「私が気を付ければ何とかなる」との思いにさえなってしまいます。そのような時には、人間中心・自己中心的な考え方になっており、お恵みくださった神様からの視点が見えなくなっているのかもしれません。
そうした思いを、教祖様は次のような平易な表現で神様のみ思いをお伝えくだされています。
「土用の炎天下、暑さに万物がさしつかえなく生きておられるのは、自分の力でそうしているのか。そこから考えて、神様のありがたいことを知らなければならない。暑くて暑くて、もう根が切れそうなと言う、そのような時でも、健康に生きていけるかどうかということを、神様は知らせてくださる。そのような時、腹に手を当ててみれば冷たい。天地の神様は、外の火かっ気き(熱気)がひどい時は腹を冷やして生かしてくださる」
誰もが当たり前と思って気付かないことの中に、教祖様は神様のみ働きがあることを見出しておられます。こうした「気付き」は、いつも神様のみ思いがどこにあるのかを尋ねようとされる教祖様のご姿勢の中から生まれてくるのだと思わせられます。教祖様は起こりくることを神様にお伺いされながら、その中にある神様の「助かってくれ」との切なるまでの願いがあることをも感じ取られていきます。
その上で、「神様が金光大神に教えてくださり、話して聞かせよと言ってくださるから、話してあげる。それを聞いて、子供にでも他人にでも話して聞かせてあげよ。めいめいにそれを心得、天地の神様はありがたいとわかって信心する人が一人でもできれば、神様がお喜びになる。そうなれば、あなた方も神様のご用に立つこととなる」と気付いたことから生まれる「ありがたさ」をもって、自身の助かりのみならず、周囲の助かりのお役に立つことの大切さを教えてくださっています。
このように「暑さ」も信心の眼をもって見つめ直すことによって、そこに神様のお守りを実感できます。そのような神様と共に歩む後に、おのずと「神人の道」が現れてくると頂いています。