【巻頭言】「お礼しか勝たん」

令和6年も、はや年の瀬を迎えようとしています。
本年7月21日には、前教主金光平輝様がご帰幽になられました。驚きと悲しみの中にも、改めて6期30年にわたる尊い御神勤に心より御礼申し上げている次第です。
教祖様をはじめ、歴代金光様のご霊神様方と相共に、五代金光様もまさに「取次の神」となられ、私たち一人ひとりの上はもとより、全教のこと、また「世界の平和と人類の助かり」を御取次くださっておられることを、ただただもったいなくありがたく思わせていただいています。
私自身、金光教学院生時代には前教主金光様の内弟子として修行に励ませていただき、その後も人生の節目ごとに御取次を頂くことで、常に明い方へとお導きいただきました。
忘れられない御取次の一つとして、平成18年、会堂アスベスト除去工事のため、修徳殿に結界取次の座が移された際のことがあります。三代金光様、四代金光様が御神勤くださった修徳殿のお広前は、会堂に比べて神前・霊前が教場から近く、お結界の座も少し低いため、金光様との距離がより近く感じられる雰囲気がありました。
当時、私は妻と1歳3カ月の息子と共に、韓国・ソウル活動センターへ赴任することが決まり、着任の日が近づくにつれて責任の重さを感じていました。心配や不安が募る中、その気持ちを前教主金光様へ素直にお届けさせていただきました。
すると、お結界の座からお広前を端から端までぐるっと見渡され、「『天地金乃神の広前は世界中じゃ』と仰っとるから、本部広前の片隅で御用させてもろうとると思っておかげ頂いたらよろしい。…結構でした」とご理解くださいました。
そのみ教えは以前から知っていましたが、お結界から直接頂いたみ教えは、本で読むそれとは迫力が異なり、私の心に深く刻み込まれ、その後の韓国での御用においてとても大きな励み、心の柱となりました。
8月29日の本葬での喪主あいさつの中で、教主・金光浩道様が「四代金光様が『お礼を土台に』とおっしゃった意味が少しずつ分かってきた気がするんですね。寂しいとか悲しいの前に、どう考えてもお礼が足らんと、お礼を申さずにはいられない、つまりこのお道は何よりもお礼しか勝たんのだと、思わされています」と仰いました。
日々、歴代金光様のご信心を求め現され、御神勤くださるお姿を拝する中で、「お礼しか勝たん」、つまりお礼しかない、お礼に勝るものはないとのみ思いに触れ、ただただありがたくもったいなく、そのみ思いに少しでも添わせていただきたいと心新たにいたしました。改めてお礼の心を土台に、日々、元気な心と体で世のお役に立たせていただきたいと念願しております。
布教部長 塚本一眞