【巻頭言】「信心親切」の神心
奈良時代の僧、行基(668年~749年)は、東大寺の大仏造立に尽力した僧ですが、しばしば、ボランティアの先駆けと言われたりもします。諸説ありますが、行基は布施屋と呼ばれる施設を開設して困窮した農民に食料を施したようです。
奈良時代から約千年の時を経て、教祖様は「信心親切」の心について、山本定次郎師に次のみ教えを伝えておられます。
信心する人は神様に参るばかりではない。銭ももらわずお礼も言うてもらわず、至急な時に格別の親切を尽くし、急難にかかりておる人を助ける時に早く行きてやり、火事の場合にも早く行きて、火を消す働きを早く潔くすれば、真の信心親切となる。何事にも心がけておりなさい。
さらに時を重ねて令和の今、能登半島地震の被災地で活動する大阪災害救援隊の第13次報告が届きました。以下は、夏祭りを開催した地元の主催者のあいさつです。(要旨)
「一月の寒い中、そして猛暑の中、一日中立ちっぱなしで私たちのために献身的な活動をしてきてくださいました金光教大阪災害救援隊の皆さんに御礼を申し上げます」との言葉が述べられて、締めの言葉は「どうかみなさん、今日は、辛かったことや不自由なことを忘れて、祭りを楽しんでいただきたいと思います。
最後に、金光教さんには、皆が本当に感謝しています。今日もこうして私たちのために活動してくださっています。ここまでのことも感謝の気持ちをもって、どうか皆さん、盛大な拍手をお願いします」であったそうです。
大阪災害救援隊が行っている「炊き出し」は、奈良時代から続く行いです。私は、熊本地震の時に大阪災害救援隊と一緒に活動した経験があります。決して出しゃばらず、謙虚に、そして一人ひとりとの出会いを大切にし、寄り添う姿勢は、先の夏祭りの主催者のあいさつと重なります。
「信心親切」の心は、誰もが心に宿している神心です。金光教関連のボランティア団体はこの神心に基づいて活動を行っています。さらに、そうした活動を応援し、心を寄せていくことも、もう一つの神心だと思います。神心と神心があいよかけよで働き合うことで、難儀な人の心に希望の光が届けられ、人が助かる働きが生まれます。災害支援の現場で、私たちができることはわずかなことかもしれません。しかしそうであっても、「せめてもの」との思いをもって、ご神願成就のお役に立たせていただきたいと思います。
財務部長 橋本信一