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世話になり合い足し合い生きる【金光新聞】

縁談相手は心臓に病

 私(62)は、幼い頃から金光教の教会に参拝していました。教会では、神様をはじめ、お世話になる人や物に感謝する心を教えてもらってきました。
 21歳から看護師として病院に勤めましたが、患者さんと接していると、沈んだ表情で過ごしている人よりも、毎日「ありがとう」と感謝して過ごしている人は、治りが早いように感じました。
 教会で教えてもらった「感謝の心」は、生きる上で大切な心なのだと感じた私は、次第に「神様のご用をさせて頂きたい」と思うようになり、私は、退職して金光教の教師になりました。
 ほどなく、私に縁談がありました。相手は、金光教の教師で誠実な男性でしたが、生まれつき心臓に病を抱えていました。
 私は病気のことが気掛かりで、どう返事をすればよいか分からずに悩んでいると、私が参拝している教会の先生が、「ご本部にお参りして、金光様のお取次を頂きなさい」とおっしゃってくださり、早速参拝して、金光様に、ありのままの思いをお届けしました。

金光様のお話で決心

 金光様は、じっと私の話を聞いてくださり、こうおっしゃいました。「結婚するということは、一生お世話になり合っていくことです。相手の病気のことも、まだ起きていない先の心配をしても仕方がない。世話をしてやるというのでは、自分が思い上がってしまう。そうじゃない。あなたも、この先病気になるかも分からん。その時は、こちらが世話をしてもらうかも分からん。お互いにお世話になり、頼み合い、助け合っていくんじゃ。あなたもこうして結婚の話があることに、お礼を申そうな」
 金光様の優しい笑顔とともに、お言葉の一言一言が心に染みました。「先のことは分からないのだから、お互いに足りないところを足し合っていけばいいんだ」と心強くなり、結婚を決めたのです。
 結婚後は、夫が在籍する教会でのご用が始まりました。夫とは、ご用や信心に対する考え方が同じだったので、「この人でよかったな」と思えました。
 ところが夫は、寒い冬になると体調を崩し、たびたび入院するようになりました。私は、その都度、お取次を頂き、心を落ち着かせました。

一日一日を感謝して

 ある時、夫が「できることなら手術をして、少しでも長くご用をさせてもらいたい」と言い、病院で検査を受けました。すると医師から、「すでに手術ができるような段階ではありません」と言われ、夫も私も力を落としました。
 教会に帰り、夫と一緒に、お結界の先生にお届けをすると、先生は「神様から今日まで命を頂き、おかげを頂いていることへしっかりお礼を申し上げ、これから家族みんなで一層力を合わせて神様におすがりして、おかげを頂いていかねば」と、穏やかにおっしゃいました。
 私は、先生のお言葉と笑顔を見て、気持ちが楽になりました。そして、手術もできないほど悪い状態でありながらご用ができていたこと、そもそも「7歳まで生きられない」と言われていた夫が、ここまで生きてこられたことは、どれだけ神様のおかげを頂いてのことだったかと気付かされました。夫と「まずは、一日一日を感謝していこう」と話し合いました。
 問題が起きると、つい心配が先になり、問題のとりこになってしまいます。金光様と先生のお取次は、どんな状況でも神様のおかげに気付き、感謝をして生きる大切さを教えてくださいました。

※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。

「心に届く信心真話」2022年2月23日号掲載

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タグ: 文字, 金光新聞, 信心真話,