吉備舞を通して神様とつながる【金光新聞】
いつも吉備舞を優先
私(44)は、子どもがどんなささやかなことでも、かなえたい願い事を持っている時に、いつも話すことがあります。それは、「お母さんも神様にお願いするけれど、あなた自身も神様にお願いしてごらん。おかげを下さるのはお母さんじゃなくて、この天地の親神様なんだから」ということです。
私は今日まで、金光教の信心をして、親神様とつながることで、どんなことにもおかげを受けてきました。そのため、娘や息子たちもそれぞれに、神様とつながっておかげを受けてほしいと願っているのです。
この春、15歳になる娘「吉備舞(きびまい)」を通して、神様とのつながりを深めてきたように思います。「吉備舞」とは、金光教の祭典で神様に奉納する舞のことです。
娘は3歳の時、私たち家族が奉仕している教会の大祭で、初めて吉備舞を舞いました。以来、教会で春と秋に行う大祭では、欠かさず吉備舞を奉納させて頂いています。
娘に舞を教えてくださる先生は、常々「吉備舞は神様へのお礼」だと、その心構えを教えてくれてきました。そのおかげで、娘の中に、吉備舞はただの習い事ではなく、「神様へのお礼であり、大事なもの」という思いが強くなっていったようです。
吉備舞が好きで、熱心に励んできた娘でしたが、小学生の頃は、友達と遊びたい時に稽古が重なり、気が進まない時もあったようでした。それでも娘は、稽古を優先してきました。幼いながらも、神様へのお礼として稽古を貫く娘の姿は、とてもたくましく思えたものです。
神様を身近に感じて
そんな娘に、神様のおかげを感じる出来事がありました。一つは、娘が以前から、舞を2人で舞う「二人舞」がしたいと願っていたことが実現したことです。もう一つは、娘にとって忘れられない、小学6年生の修学旅行です。学校で日程説明があった日、娘は大喜びで帰ってきました。「お母さん、今度の修学旅行で、私がずっと行きたいって言ってたテーマパークに行くことになったよ。しかも、その日は私の誕生日なんだよ。こんなことってある? めっちゃうれしい! 神様のおかげだね」
にこにこ笑顔の娘を見て、私も、「よかったね。稽古も頑張ってきたし、神様からのご褒美だね」と喜び合いました。そして、「神様は、娘の誕生日に、娘が一番喜ぶプレゼントを用意してくださった。何より、娘が神様を身近に感じてくれている。本当にありがたい…」と、心の中で手を合わせていました。
お礼の心を忘れぬ娘
その翌年には、いつも一緒に稽古していた友達と2人で、金光教本部の大祭で、吉備舞を奉納する大役を頂きました。くしくも娘が舞を始めて10年の節目。大舞台でも落ち着き、りんとした舞姿を見て、「あの小さかった娘が、こんなにも心身ともに大きくお育てを頂いていたとは…」と心から感動しました。
また、昨年は娘から教えられることがありました。昨年は、新型コロナウイルスの流行で、教会の大祭も内容を縮小することになりましたが、娘が「吉備舞はさせて頂く」と言ってきたのです。神様へのお礼の心がぶれない娘に驚くとともに、「どんな時でも、神様へのお礼の心を忘れてはいけない」と教えてもらいました。
お礼の心一つで神様とつながってきた娘。これからも娘の成長を見守りつつ、私自身も神様と太く強くつながっていきたいと願っています。
※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています。
「心に届く信心真話」2021年5月23日号掲載