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地域の人と共に助かる【金光新聞】

「どうぞ、この問題に道がつきますように」

 今から18年前、私(76)は市役所から民生委員を委託され、さまざまな事情や問題を抱えた児童、高齢者と関わりながら、6期務めさせて頂き、昨年退任しました。
 私は民生委員を委託される以前から、息子の友人たちに自宅で勉強を教えていた縁などもあり、地域の人たちとのつながりを大事にしてきました。
 私の生き方の根底にあるのは、「人間は皆、神の氏子である」という金光教のみ教えです。このみ教えに支えられ、どんな時でも、「自分だけでなく、関わりある人たちと一緒に助かっていく」ことを第一に、神様にお願いしてきました。そして、神様がその願いに応えてくださったかのような、ありがたい体験をさせて頂きました。

 民生委員の退任を目前に控えた、昨年9月のことです。社会福祉協議会から、敬老の日に約50個のお弁当を地域の高齢者に配達する依頼がありました。
 ところが、配達をお願いされた時間帯には、どうしても外すことのできない用事があったのです。どんなに早く帰ったとしても間に合いません。「困ったなあ」と思いましたが、「どうぞ、この問題に道がつきますように」と神様にお願いをし、交流のあった地域の人に相談をしてみました。
 すると、お弁当を受け取る高齢者の中から、「お弁当をもらうだけでは申し訳ないから、ぜひお手伝いがしたい」と、5人の方が申し出てくださいました。しかも、事前に集まって、配達の段取りについて入念に打ち合わせをしてくれ、私に「心配要らないから、安心して行ってきてね」と言って、気持ちよく送り出してくれたのです。
 その言葉は、まるで神様がおっしゃってくれているように感じ、私の心配に対して、神様はちゃんと準備をしてくださっていたんだと、ありがたくてありがたくてなりませんでした。

一緒に助かっていく世界

 安心して用事を済ますことができた私は、後日、お世話になった方々にお礼に伺いました。社会福祉協議会からは、「こういう協力態勢は、他の町では例がありません。あなたの地域の、人々の温かいつながりにびっくりしました」と感謝されました。
 お弁当を配ってくれた方たちからも、「チームを組んで一致団結し、皆さんにも喜んでもらえて、とても楽しかったよ」「また機会があったら、声を掛けてね」と喜んでもらえ、人と人が協力し、共に助かっていく素晴らしい経験となりました。
 思い返せば、これまでも地域の人たちに幾度も助けられてきました。「自分だけでなく、関わりある人たちと一緒に助かっていく」という願いのままに、どんな時も神様のおかげを頂いての私だったのです。

 金光教では、神様と人間との関係を、「氏子あっての神、神あっての氏子」と捉えています。「氏子あっての神」という神様のお気持ちがありがたく、これからも神様のお役に立たせて頂ける私でありたい、との思いを強くしています。
 信心をさせて頂いてきた中で、一番ありがたく感じることは、「人間は、神様によって生かされて生きている」ということを分からせてもらえることです。神様に対し、生
かされていることへのお礼を申し上げた上で、身の上のさまざまな事柄を願わせて頂くと、次々と問題に道がつき、助かりの道を歩ませてもらえます。私はそのことを、心底ありがたく思っています。
※このお話は実話をもとに執筆されたものですが、登場人物は仮名を原則としています

「心に届く信心真話」2020年6月7日号掲載

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タグ: 文字, 信心真話, 金光新聞,