天地金乃神大祭並びに教主就任奉告祭を迎えて
金光教報 4月号 巻頭言
「一筋の道の起伏や風薫る我が若き日の一句を愛す」
これは、四代金光様がお隠れになる数日前に詠まれたお歌である。ここには、「教祖生神金光大神取次の業(ぎょう)を伝承し、教統を保全する」という、教主としての役柄に奉仕されてきた人生を振り返り、教祖様から歴代金光様へと受け継がれてきた「一筋の道」を歩まれた感慨が込められていると拝察する。
あれから30年、去る2月15日の教主選挙の結果をもっての推戴を、金光浩道様がお受けくださり、3月27日に新たに教主とお立ちくださった。教祖様に始まる「一筋の道」が、金光平輝様から浩道様へと受け継がれていくご時節に、私たちは出会(いであ)うを得たのである。
過去の教主代替わりは、現身(うつそみ)の教主との惜別を乗り越える厳しさを伴ってきたが、このたびは、金光平輝様ご健在の中でお迎えした。そして、すでに金光平輝様のおぼしめしのままに御用くださってきた浩道様が、常のみ姿そのままに教主となって御取次くださるのであるから、まことに心強いことである。この喜びとともに、金光平輝様のご神勤30年の御礼の心を表して参りたい。
さて、いまだ明けやらぬ新型コロナウイルス感染症の影響は、人間のありようを厳しく見つめ直さざるを得ない大事であり、人類にとっての大きな転換期となるだろう。新たな生き方が求められ、模索していかざるを得ないこの時に、私どもは、その歩みを新しい教主のお導きを頂いて進めていくことができるのはありがたい。
このたびの教主選挙は、お道の将来を次代に託された金光平輝様のご覚悟を受けて臨ませていただいた選挙であった。それをお受けくださった浩道様のご覚悟もまた、推し量ることのできない深いものであろう。この覚悟の源流をたどれば、教祖様に始まる歴代金光様の「仰せどおりに仕(つかまつ)る」ご姿勢をもって、神様と縦軸で結ばれていくありようにつながっていくと頂く。そのご姿勢をお手本にして、あらためて私ども一人ひとりが、信心に生きる喜びと御用に生きる覚悟をより確かなものにして参りたい。
このたびの天地金乃神大祭は、教主就任奉告祭を併せてお仕えさせていただく。この尊き「一筋の道」が授受されていくご時節を頂いた喜びと覚悟をもって、ご祭事を麗しくお仕えさせていただきたいと願う。