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「心配をするな。内輪はきげんよくせよ」

金光教報 「天地」6月号 巻頭言

 今年は、金光教が明治33年(1900年)に独立教団として国の認可を受けて120年となり、6月14日には祭場で教団独立記念祭が執行されます。
 このたびは、天地金乃神大祭と同様、全教の皆様には遥拝していただく形で仕えられます。ともどもに、教団独立に心血を注がれた先人のご尽力に思いをいたし、歴代金光様の御取次を頂いて「神人の道」が今日まで伝えられ、日々立ち行かせていただいていることに、心から御礼を申し上げたいと存じます。
 また、新型コロナウイルスの感染拡大により、厳しい状況が続いていますが、亡くなられた方々の御霊の立ち行きと感染された方々の回復、速やかな感染拡大の終息を、全教勢をそろえて祈らせていただきたいと思います。
 生物学者によれば、新型ウイルスの発生は、生命進化の上で避けることのできない自然な過程であり、時間はかかっても、共存関係に収まることによって感染が終息する、と言われています。感染の終息には、医学的な治療は必要不可欠ですが、それ以上に、生命進化の過程は、はるかに人間の知恵と能力を超えているのです。
 教祖様は、「今も昔も、これから何万年たっても、世の中は変わりはしない。同じことである。人もきれなければ、食べ物もきれることはない。次々に種が生えて続いていく」と、人間には計り得ない天地のお働きについて教えられています。
 そのようなお働きの中に生かされている者として、世界中の人々と共に、天地の親神様のお守りを頂いて助かっていくよう、いっそうに祈りを込めさせていただきたいと存じます。
 また、世界的な感染拡大は、日本でも大きな不安を呼び起こしています。人間は先行きが見えない不安を抱えると、ついつい伝聞に惑わされ、ややもすると、人を責めることで不安を解消し、人間関係まで壊していくような、心の病も伝染していくおそれがあるように思います。
 振り返ってみると、明治期の大変革の中で、教祖様は布教資格を失い、明治6年には、「神前撤去」という事態に至りました。しかし教祖様は、神様からの仰せどおりに辛抱される中で、心新たに信心を深められ、信心の要となる「天地書附」やお結界の位置が定まりました。
 しかし、宗教活動ができなくなる事態は、教祖様ご家族にとっては、将来への大きな不安をもたらすものでした。神様は、先行きの見えない心配を抱えているご家族に対して、「家族中、神のことを忘れるな。何事があっても人に頼ることをするな(人をあてにするな)。良いことも悪いことも、神任せにせよ。心配をするな。世は変わるものである。辛抱せよ。とにかく、内輪はきげんよくせよ。ものの言い方でも、あなたこなたと言うがよい。何事もむだ口を言うな」と、申し渡しをされました。
 これは、不安の中にある時こそ、お取次を頂いて、神様を放さず、信じ任せ、神の氏子同士、尊重し合い、寛容な心と丁寧な言葉遣いをもって、互いに仲良くしていきなさい、との願いを伝えられたものだと思います。
 先行きが不確かな状況が続く中、このような神様の願いに添った家庭の在り方や、人間関係を大切にしつつ、心と体の司である神心が生き生きと働き、心身共に健康な「神人(しんじん)生活」(神人あいよかけよの生活)に努めさせていただきたいものです。

三浦義雄・教務理事

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