金光教の信仰実践と「SDGs」【金光新聞】
共に世界真の平和に向けて
2015年、国連は「SDGs(エスディージーズ/持続可能な開発目標)」として、各国が取り組むべき17のゴール(目標)を設定した。その内容に触れていくと、これまで積み重ねてきた、お道の信仰に根差した行動や実践の一つ一つが、これからの社会において、いよいよ重要になってきているように感じる。
SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称で、2015年の国連サミットで採択された国際目標である。2030年までに持続可能な世界を実現するための17のゴールと、それぞれのゴールに向けた169のターゲット(具体的な取り組み)を設定した。
17のゴールには「貧困の解決」「飢餓の解決」「教育」などの社会目標、「気候変動」「エネルギー」「生物多様性」などの環境目標、「雇用」「インフラ」「生産と消費」などの経済目標のほか、「不平等の解決」「ジェンダーの平等」「平和」などが、体系的に整理されて列記されている。
SDGsは、「地球上の誰一人として取り残さない」社会を実現するため、発展途上国、先進国がともに取り組むべきものとされ、日本でも国や行政をはじめ、経済界も積極的に取り組もうとする動きが見られる。
近年、「持続可能性」という言葉が、切実な迫りを持って受け入れられるようになった。その背景には、グローバル化に伴う国内外における貧富格差の拡大、新たな世界大戦や核戦争をも予感させるような国家間のあつれき、人種・民族・宗教・性的指向など特定の属性を持つ個人や集団に対する偏見や憎悪の拡大、気候変動を実感させる自然災害の大型化など、深刻な内容の報道に接する機会が増えたことと関わっているだろう。
ところで、SDGsで掲げられているゴールとターゲットは、金光教が誕生して以来、さまざまな形で展開してきた信仰実践と、その願いとするところが重なり合うものも多い。
その例を挙げるならば、その第一は、教祖様以来、「世間になんぼうも難儀な氏子あり、取次ぎ助けてやってくれ」という天地金乃神様のお頼みの実現のため、ご用に当たってこられた先人たちの取り組みがそうである。健康や経済の問題などを抱えた人々が、立ち行くように寄り添っていくことはもちろんのこと、行き場を失った病人や子どもを、教会で受け入れてきた事例も多数ある。
また、私たち人間が住まわせてもらっている天地は、「天地金乃神様のご神体である」との認識に立ち、食物をはじめ天地の働きの中で生み出された全ての物を、「無駄にしないこと」「ありがたく頂くこと」を心掛けてきた。
さらには、人が道端に吐き捨てたたんを、「天地のお体をたんつぼにするとは、相済まない」と、拭き清めて歩かれたという先人の実践の例も伝わっている。天地への畏敬の念に発する信奉者としてのさまざまな在り方が、結果的に環境に配慮する行動につながっているのだといえよう。
こういった信仰実践の積み重ねの上に、 「金光教平和活動センター (KPAC)」 による東南アジアの子どもたちへの教育支援をはじめ、阪神・淡路大震災、東日本大震災など、各地で頻発する自然災害に対する支援活動が現在も展開している。近年、「金光教LGBT会」 も発足した。
今号から弊紙では、毎月1回、「金光教 × (クロス) SDGs」 と題し、 教内のさまざまな社会貢献活動や救済活動の実例を、SDGsのゴールと関わらせながら紹介していく。これを機に、本教信仰の可能性を今一度見詰め直し、一つでも多く「総氏子身上安全世界真の平和」に向けた行動が生み出されていくことを願う。
「フラッシュナウ」金光新聞2020年1月26日号掲載