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本教の祈りの在り方求めて【金光新聞】

「祈り」が科学的に研究される時代に

 「祈り」の効用を科学的に実証する試みがある中、医療現場でも、祈りが治療方途の一つとして用いられ始めたという。祈りの素晴らしさが明らかになってくる一方で、私たち金光教信奉者の祈りの在り方も問われているように思う。

 私は一人の金光教教師として、できる限り一心に祈る稽古に取り組んできた。毎日、神前拝詞を10 回唱えることや、教主金光様が本部広前でなされている毎朝4時の心中祈念に合わせて、教会でご祈念することなどに取り組んできた。これは氏子を助けたい思いからしてきたことだが、それによって、祈りというものが持つ奥深さをもっと知りたいという思いが強まったように思う。
 さて、これまで、宗教的な営みというイメージがあった「祈り」に対して、近年、科学的な検証がなされ始め、医学の現場などでも、祈りが代替医療の一つとして用いられている。
 祈りについての科学的研究の一つに、病気の人を、祈られているグループと祈られていないグループに分けて実験したところ、祈られているグループは病状が悪化した人の割合が減る結果が出たという。また、祈る人がいる場所が病院から近くても、はるか遠くても同様の結果になったそうだ。

 遺伝子に関する研究の世界的権威である村上和雄筑波大学名誉教授は、祈りの効能について「真心を込めて深く祈ることが、祈る人、祈られる人の遺伝子のスイッチを入れ、その思いが天に通じた時に祈りはかなえられる、と私は思っている」と述べている。
 人体の細胞は、さまざまな条件に応じて必要な遺伝情報を取り出す仕組みとして、遺伝子の発現をスイッチのようにオン・オフしながら、調整しているという。
 さらに村上氏が、宗教者を対象に遺伝子の状態を調べたところ、ウイルスなどから身体を守る自然免疫系が全体に活性化していることが分かったそうだ。日常的に実践する祈りが生む、ある心理状態が積み重なることで、遺伝子の働きを介して体の状態に影響を及ぼしたと推測されているのである。祈りは、祈る人にも祈られる人にも好影響を与える。つまり、祈りは個人にとどまらず、周囲に良い影響を及ぼすということだろう。

 私は、こうした科学的知見に触れるにつれ、あらためて日々のご祈念の重要性を痛感し、人が助かるための祈りを広げていきたいと思うようになった。
 そこで昨年から、信者さんたちと一緒になって「人助け祈念会」と称する勢祈念を始めた。月に2回、午後4時から30分間、難儀に遭っている人が助かっていくよう願って、一心に祈るのである。
 私は、こうした祈りに賛同してくれる人が生まれ、広がっていくことによって、人の助かりを願う祈りが世界を包んでいくというイメージを抱いており、教祖様がおっしゃった、「一人で持ちあがらぬ石でも、大勢かけ声で一度に力をそろえれば持ちあがる」とのみ教えを実感している。

 そして、私たち金光教の信奉者が忘れてはいけないのが、日々、本部広前で教主金光様がご祈念くださっているということである。決して自分の力で祈っているのではなく、金光様の祈りに包まれながら、金光様と一体になって祈らせて頂いていることを絶えず念頭に置いて、祈らせて頂きたい。
 私は、これこそが、本教ならではの祈りの在り方ではないかと思っている。これからも、教主金光様と一体になった祈りになるよう取り組み続けていきたい。


高橋寛志(岡山県岡東教会長)

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