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教祖様ご生誕二百年を迎えて

金光教報『天地』 1月号巻頭言

 天地のお働きのなかで、今月今日の命を頂き、共々に平成二十六年の新春を迎えさせていただいたことは、誠にありがたいことである。
 昨年は教祖百三十年のお年柄、すなわち、教祖様が現身(うつそみ)でのご用を終えられ、永世生き通しの生神金光大神取次のお働きを現してくださることになって百三十年ということであり、それはまた、教祖様のみ跡を受けられた歴代金光様が本部広前において生神金光大神取次を具現してくださり、その御祈念、御取次を頂いて助けられ、立ち行かしめられてきて百三十年ということでもあった。そして、今年は、文化十一年旧暦八月十六日(新暦で九月二十九日)、教祖様がこの世にお生まれになられてから二百年というお年である。
 教祖様は、前半生を一農民として過ごされ、人生のさまざまな苦難に出遭われるなかにも、常に神仏に心を寄せて、実意丁寧な生き方を貫かれることにより、「天地の間に住む人間は神の氏子」と仰せになる、人間を生かし育まれる天地の親神様と出会われることとなられた。そこからさらに一心に信心を深めていかれ、人間は神の氏子として生まれてくるのであり、神の氏子として生き、働きを現すことを願われていることを悟られ、神の氏子としての生き方を実意に求めていかれて、神様から「生神金光大神」として差し向けられるまでになられた。
 そして、山本定次郎青年に、「人間は、どうして生まれ、どうして生きているかということを知らねばなりませんなあ」と問いかけられ、初参拝の利守志野さんには、「お天道様のお照らしなさるのもおかげ、雨の降られるのもおかげ、人間はみな、おかげの中に生かされて生きている。人間は、おかげの中に生まれ、おかげの中で生活をし、おかげの中に死んでいくのである」と諭されたように、私たちに、神様と人間との間柄、神様のおかげの世界、神の氏子としての生き方を教えてくださっている。
 前教主金光鑑太郎様は、ラジオ放送でこのようにお話しくださっている。
 「いつも思うことであり、当たり前のことでありますが、私ども人間、世界中の人が、今日までの歴史のなかで、誰一人として、自分を生んでくれといって生まれてきた人はないのであります。天地自然の恵みのなかに、いのちの働きがずっと続けられ、生まれた所や時やいろいろなことはそれそれに違いはありましても、みな、親の子として生まれてきたということ、恵みのなかに生まれてきたということは、同じであります。お世話になって、いのちを頂いて生まれてきたという事実、これが人間の出発であり、いのちの出発であると思います。赤ん坊の時は何も分からないので、お礼も何も申しませんが、本当は、恵みのなかにお世話になって生まれてきたことにお礼を申す、そこから出発しているのであると、しきりに思うのであります」
 前教主金光様は、お世話になって、いのちを頂いて生まれてきたお互いであり、これが人間の出発であり、いのちの出発なのだと仰せられているのである。
 「神人あいよかけよの生活運動」の「願い」の二行目に、「神のおかげにめざめ」とあるが、私たち一人ひとりにとっての「神のおかげ」の出発は、命を頂いて生まれてきたということであろう。しかし、この道の信心をさせていただいているからこそ、そのことに気づくことができるのであり、繰り返し御取次を願い、頂くことをとおして、そのような神様のおかげを自覚した神の氏子としての、お礼と喜びの生活を進めることが自身の生き方の基本となっていくのである。
 「運動」の推進に当たっては、本年から「願い」の三行目「お礼と喜びの生活をすすめ」に焦点を当てて取り組んでいくことになっている。教祖様ご生誕二百年に当たり、教祖様のご生涯に思いをいたし、私たち一人ひとりが神の氏子として、おかげのなかに生まれてきたこと、おかげのなかに生かされていることを自覚し、神の氏子として生きることに実意を込めて、お礼と喜びの生活を進めさせていただき、一人ひとりの生活に「神人の道」が現れてまいるおかげをこうむらせていただきたい。
 教団では、教祖生誕二百年記念講座や教祖様の漫画書籍の刊行を計画している。記念講座は、教学研究所長を講師に、「神人の祈り」とのテーマのもと、六回にわたって開催するものであり、神の氏子として生きることに実意を込められた教祖様のご生涯に思いを寄せ、教祖様のご信心を今日に頂き直してまいりたい。漫画書籍は、「金光新聞」に連載中の漫画をもとに書き直し、ご出生からご帰幽までのエピソードに解説を加えたもので構成し、教祖生誕記念日の九月二十九日に発行する。例年行われている教祖生誕前夜の奉祝行事も、盛大なものとなることを願っている。
 この一年、教祖様ご生誕二百年を全教でお祝いさせていただき、教祖様のご信心に生かされている喜びとお礼の心を深め、一人ひとりの信奉者、教会、教団のうえに、ここからの展開のおかげをこうむらせていただきたい。

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